遥か昔、異界より襲来した侵略者からアストラを守るために立ち上がった女性。
文明レベルも兵力も圧倒的に劣勢の状況で、自分たちの世界を守るために、太陽の化身と契約を交わした。
太陽の騎士となった彼女は、常人を遥かに超えた力を手に、どれほど過酷な戦場でも一歩も引かず、やがて世界を救う英雄となった。
契約の代償について、誰にも話すことなく。

太陽の化身との契約で貸し与えられた力はあまりにも強大であり、人間の体では到底耐えられるものではなかった。
契約の際、太陽の化身は忠告した。「戦いが終わり、契約が切れれば、お前の命は燃え尽きる」と。
それでもフォルテは、迷うことなく契約を望んだ。
自分の命よりも、大切な人たちが暮らす世界を守るほうが大事だ、と微笑んで。

アストラの危機を察して現れた異界の女神の加勢もあり、激戦に次ぐ激戦の果てに、とうとうフォルテは異界の軍勢を退ける。
勝利に歓喜する人々の中で、大地に突き立てた剣にもたれるようにして、フォルテは静かにその短い一生を終えた。
事切れた彼女の顔に絶望や恐怖は一切なく、ひたすら安らかであったという。